警察庁は16日、通り魔やひったくりなどを自動で感知する「異常行動検出機能」付きの最新型防犯カメラ約20台を、今年11月にも川崎市川崎区の繁華街に設置すると発表した。
人が倒れるなど不自然な動きが映ると、所轄の川崎署で警報が鳴る仕組みで、住宅には部分的にモザイクをかけるなどプライバシーにも配慮している。2011年3月までのモデル事業で、成果や性能を検証する。
カメラが設置されるのは、JR川崎駅東口の繁華街の広さ約1平方キロ・メートルの範囲。警察が設置する防犯カメラは昨年3月末現在、東京、大阪など10都府県に計363台あるが異常行動検出機能を搭載したタイプは初めてという。
対象地区の20地点を24時間撮影。物を振り回せば「通り魔」、背後からゆっくり近づいて急に走って追い越せば「ひったくり」、大勢の人が一気に集まれば「乱闘」、人が路上に倒れて動かなくなれば「傷害、暴行事件の被害者」の可能性があると自動的に判断し、警報が作動する。警察官は署のモニターで映像を確認し、現場に駆け付ける。
深夜に一定以下の身長の人が映った場合も、犯罪に巻き込まれやすい子供の一人歩きのおそれがあるとして警報が鳴る仕組みで、同庁は「犯人の現行犯逮捕や被害者の早期救助だけでなく、防犯にも生かしたい」としている。
一方、プライバシー保護のため、民家の出入り口やマンションのベランダなどはモザイクをかけるほか、犯罪捜査のため録画した映像を閲覧できる捜査員を限定する。同庁は今後、川崎市や地元住民の代表らでつくる有識者会議を設置し、運用方法について説明する。