タクシー運転手強盗殺人事件契機に県内各社、車内用防犯カメラ導入の動き広がる【2010年6月6日】

平塚市内の農道でタクシー運転手の男性が殺害された強盗殺人事件を受け、同市を中心に、県内のタクシー業界で車内用防犯カメラを設置する動きが広まっている。殺害された荒井庄次郎さんが所属していた相模中央交通(本社・厚木市)などが導入を決めたほか、各社も検討を本格化させている。高額の設備投資となるが、相模中央交通は「従業員の命よりも大事なものはない」と話している。

 事件は発生から2週間が経過したが、県警によると犯人に結び付く有力な情報は今のところ寄せられていない。発生が深夜で現場が人通りのない農道ということもあり、目撃情報が乏しく、捜査幹部は「車内に防犯カメラがついていれば…」と話す。

 県タクシー協会によると、県内197社の約1万500台のうち、防犯カメラ登載車は1600台にとどまる。同協会は「防犯効果は非常に高いが、安いものでも1機3万円程度。費用がネックとなり普及が進まないのが現実」と語る。

 事件を受け、従業員が犠牲となった相模中央交通は緊急の防犯対策会議を開き、全事業所の約480台に防犯カメラを設置することを決めた。同社は「費用うんぬんではない。従業員の身の安全を考え、できるだけ早く全車に装備したい」と話す。

 同じく全24台に導入する平塚市の神田交通は、運転席側の仕切り板だけではなく、座席部分の横幅を広げるなど助手席との間にあるスペースを埋める工夫も考えているという。

 横浜市港北区の三和交通は、一昨年に横須賀市で起きた米兵によるタクシー強盗殺人事件後に導入を決め、今年4月から運用を始めている。

 同月末には同区内の私鉄駅近くからタクシーに乗った男による強盗事件が起きた。三和交通によると、犯人は同社のタクシーが前後を挟んで真ん中に止まっていた他社のタクシーに乗ったという。橋本信之常務は「防犯カメラ搭載車というステッカーを見て、犯人が避けた可能性もある」と推測。酔客とのトラブルも減るなど、防犯効果を実感しているという。

 乗客を常に録画する形になるため、同常務は「犯罪抑止になる一方、もし情報や画像が悪用されれば、業界全体の信用問題になる。プライバシー保護には細心の注意を払っている」と話す。同社では画像を確認できるのは管理職2人に限定し、従業員が立ち会う際には「一切口外しない」との誓約文を書かせている。

 県タクシー協会は、「車内の防犯カメラに抵抗があるお客さんもいるかもしれないが、運転手の命を守るためと理解してほしい」と話している。

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